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伝統色と東京五輪のチケットデザイン

東京2020オリンピック・パラリンピック組織委員会から、観戦チケットのデザインが本日発表されました。

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日本の伝統色である「紅」「藍」「藤」「松葉」の4色とピクトグラムがデザインされた、誰にでも伝わる分かりやすさと日本らしさが両立したデザインとなっています。

モチーフにしたのは、平安装束の「かさねの色目」です。

以前発表されたコアグラフィックスは、↑の4色と「桜」でしたが、今回は桜は入っていませんでした。

東京オリンピックは、日本の伝統色をフルに活用した大会になりそうですね。

一つひとつの色を解説していくと、

紅(べに)#C41A41

この色を出すには紅花から取った染料を用います。

この色は日本で生まれた色ではなくて、中国の唐から伝わった色です。唐紅(からくれない)と言われていました。

大陸由来の色は鮮やかな色が多いので、日本古来の色たちの中ではとっても鮮やかな色です。

禁色に指定された時期もあったので、庶民の憧れの色でした。

藍(あい)#105779

日本が大好きな色。世界に誇るジャパンブルーです。オリンピックのエンブレムも藍色ですね。

藍という植物由来の色で、オリンピックの影響もあり藍染も注目されそうです。色の出方によって様々は呼び名があります。

いわゆるインディゴよりも、日本人が好む藍色はもっと深い色です。粋と品を感じる日本の伝統色です。

藤(ふじ)#BAA7CC

言わずもがな藤の色。別名「若紫」。

洋名では「ウィスタリア」と呼ばれています。

日本人と藤色の関係は深く、「藤」のつく色は他にもたくさんあります。

強いスピリチュアルな側面を感じる色であると同時に、癒しや母性を感じる色とも言われています。藤色をはじめとした紫は赤と青の二面性を持つ色なので、1つのイメージでまとめるのは難しいのです。

松葉(まつば)#3F7735

松の葉っぱの色です。

松竹梅にもあるように、日本のおめでたい時を飾る代表的な松からインスピレーションを受けています。

松の葉は冬でも枯れないので、命を表す色と言われています。

※色の説明の一部は伝統色のいろはさんを参考にさせていただきました。

それぞれの色のエピソードから分かるように、日本人の生活の中に定着し、根強い人気のある色たちが選ばれています。

古来より日本人は、顔料(絵具)ではなく染料(染め)をよく用いていました。染料は水に溶けるので濃い色であっても独自の風合いや柔らかさを出すことができます。

ちなみにリオ五輪はこちら(MEGABRAZIL様)

ロンドンはこちら(This is my London Olympic様)

どちらもそれぞれの国の特徴がよく出ていて面白いですね。

特にブラジルはイエローベースでまとめられていて、陽気で楽しげなデザインになっています。この2つの開催国と比較してみると、今回のチケットデザインも日本らしさがよく表されているなーと思います(少なくとも私は)。

日本の空気って水分が多いので、あまりパキッとしていない、控えめでうるっとした色を好む人が多いです。一番派手であろう「紅」も「赤」の中ではかなり控えめな部類に入るんですよー。

オリンピックも近づいてきたので、ファッションや暮らしの中に日本の伝統色を積極的に取り入れてみたいですね。

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